ファイナルファンタジーVI cefca2

 

 

ガストラ帝国、兵士訓練所の朝。

早い起床後、すぐに召集がかかる。

その日の必要事項などを告げる朝礼のようなもので、見習い兵士達は身支度もそこそこに、すぐに駆けつけねばならない。

ケフカは身支度を整えると、同室の男と一緒に部屋を出た。

彼は20代で徴兵されてきたこの南方大陸の南にあるアルブルク近辺の人間だ。

「この頃あまり眠れないみたいだけど、平気なのかい? あまり無理をするとやってけないから」

歩きながら、見るからに貧弱そうな体付きをしている少年を心配して、この青年は毎朝声をかけてくれる。

「うん……」

いつもなら眠くても作り笑顔でなんとか返事を返しているのだが、

悪夢に眠れなかった今日ばかりはその優しさが鬱陶しくなって生返事になる。

彼は心得たようにケフカを見つめると、「そう、先に行ってるから後でゆっくり来るといいさ」 あくまで少年を慮って、小走りに駆けていった。

悪かったかな、と思うと同時に、足元が揺らいだ。

きついわけではない。が、今日はなぜかふらつく。

次々に部屋から出て行く兵士達を避けるようにして階段の脇に寄り掛かった。

手すりのちょうど下を覗き込む形になった。

その時小さな白い影がその下を走って行くのを見つけて、ケフカは息を飲んだ。

” ___いた、あの子だ。本当にいたんだ ”

 

実は、この訓練所には女性がいる。

ガストラ帝国では女性が徴兵される制度はない。

のだが、好んで兵になろうという気丈夫はどこの世界にもいるもので、

そのようなレディのために女性だけの兵舎があるのだ。

訓練メニューは男と変わらないので女性にはかなりハードなはずだが、

毎年、数人は志願者がいるのが男性諸君の悩むところだ。

___それにしても、あまりにそぐわぬ幼子をケフカはある日見かけた。

切れ長の目、やたら整った鼻、輪郭、軽くウェーブのかかっている、うなじまでの淡い金髪。

はあっ? と眼を疑ったが、今も見てしまったのだからどうやら幻というわけでもなかったらしい。

ここに居るのがどういうわけだか知らないし、何があったからといって何かを感じもしない。

このような場所に居るはずのない女の子がいる。

それだけの好奇心。

何といっても、最初に彼女を見た感想は、

「おもちゃのオートマター(自動人形)みたいだなー」

だったのだから、ケフカのそのような興味のなさがわかろうというものである。

 

そのまま見送って彼女が後ろ姿になったとき。

「んに見惚れてんだぁ?」

ケフカの頭をこづいたのはまたもスキンヘッドだった。今日もピカピカである。

「んー…女の子がいるなー…って思って」

と何気に答えて歩き出そうとすると、男は筋肉隆々の腕を組んでフンフンと鼻を鳴らし、遠くを見る目つきをした。

そして、身を捻じるようにして50センチとある身長差を縮めると、

「いっくら頭が発達してたって、お前もまだガキだもんな」

(どーゆー意味だよッ?!)

思わず振りかえってしまったケフカに向かって更に、

「よおおおおっしっしょうがねえなあっ、俺が持ってる情報をボーズにくれてやるっ! 有り難く思えよっ!」

とのけぞった。意外と器用な男だ。

「セリスっちゅーんだ。セリス=シェール。お前と同じ親なしで、誰かに引き取られたんだと。

 今ここにいるのはあのかわいくねー女たちの仲間になりに来たんじゃなくて、

 その引き取り人に預けられる準備のためなんだとさ。もうすぐここを離れるらしいな。

 しかし気にするなあ少年! 想いってもんはだな、ああ、いつまで経っても消えねえモンなんだよ。

 そうだな、ま、いろいろあるが、そんな事を今のおめえに言ったってどーしよーもねえな、きっと。

 俺だって…」 一瞬言葉を切って唖然と見上げているケフカをチラッ、

「とにかくっ! がんばれよっ!!」

いって背中をバンッとどやしつけると、へへへ、と男は兵士達の中に紛れていった。

………… は?

ケフカは取り残されたような気分になると、ぶるるんっ、と頭を振った。

ま・まあ、とりあえずあの女の子の事を知ったと。

そーゆーことだな。

セリス、セリスか……ほんと、名前まで人形みたいだ。

でも、結局、なんだったんだろ……う?

___やはりケフカの興味はそこまでだ。

 

「ケフカ、ケフカちょっと来い」

さて朝礼もどきが終わったあとは、朝の憩い、裏は戦争の朝食である。

体力消耗戦の食事当番は週番制になっており、ケフカは今週面倒くさくて嫌いなそれに当たっていた。

急いで準備せねば荒くれ男達のブー(ぷらすこぶし)の暴風雨なので、厨房に駆け出す態勢にあった彼は、教官の言葉にコケそうになった。

「ぼく、当番なんですけど」

「それよりもこっちのほうが重要だ」

口早に言うと、教官はしばらくケフカの白い顔を眺めて変な目つきをした。

「皇帝陛下のお召しだ。朝食を一緒にとのご所望だそうだ」

「えっ……」 何故!? と考えている間に、

「とにかく、礼服に着替えてすぐに城に向かえ。出口にチョコボが用意してある。

 ……ぐずぐずしていると御叱りを受けてしまうぞ。当番の事なら私が言っておく。早く行けっ!」

訳を数種類思い浮かべながら、結局見つからないまま、自分の部屋に向かって走り出す。

 

 

 

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